2018.04.22
ラバーダム防湿する?しない?
ラバーダム防湿は精密根管治療における無菌化を目的とする最重要必須項目です。
日本歯内療法学会、アメリカ・ヨーロッパ歯内療法学会、ヨーロッパでは根管治療時のラバーダム防湿を推奨しています。
利点
①治療視野の確保
治療する歯のみを唾液や周囲粘膜などから隔離します。
②粘膜の保護
・口唇や舌に歯を削る器具などが当たって損傷する事を防ぐこと
・次亜塩素酸ナトリウムによる粘膜の火傷を防ぐこと
③治療器具の誤飲誤嚥防止
治療に使用する器具が誤って口の中に落ちて飲んでしまうことが少なからずおこることが起きます。
ラバーダム防湿によりこのような事故を未然に防ぎ安全に治療を行います。
④唾液から術野を守る
根管治療は歯の内部の細菌感染を取り除き無菌化を目指します。
唾液中には多くの細菌が存在します。根管治療の最大の失敗理由は治療中に唾液が歯の中に侵入することです。
ラバーダム防湿の主たる目的は唾液の侵入をシャットアウトすることなのです!
⑤呼気から術野を守る
人が吐く息には多くの水蒸気が含まれており術野が湿り治療結果を悪くしてしまいます。
欠点
①歯にクランプというラバーダムを安定させるための金具でおさえる
歯にクランプという器具を付け、歯が締めつけられ歯茎に食い込んで痛い場合があります。
精密根管治療時は基本的に麻酔を各回使用していますので痛みはほとんど感じません。
②ラバーダム防湿中は口が乾きうがいができません。
精密根管治療時は口腔内を乾燥させラバーダム防湿をしているのでうがいが出来ません。
③口を閉じれないので顎が疲れてしまいます
精密根管治療ラバーダム防湿中は、口を閉じることが出来ません。
治療している歯の反対側でバイトブロック(お口が疲れないような器具)を咬んでいただくとこで顎の疲れは軽減します。
顎に無理のない時間内で治療を行うよう心掛けますのでご相談下さい。
2018.03.08
〜精密根管治療とは?〜
■精密根管治療と通常の根管治療の違い
精密根管治療 |
通常根管治療 | |
3DCT | ◎ | △ |
マイクロスコープ | ◎ | △ |
1回治療時間 | 60分 | 30分 |
ラバーダム防湿 | ◎ | △ |
隔壁 | ◎ | △ |
ニッケルチタンファイル | ◎ | × |
消毒薬:NC |
◎ | ◯ |
貼薬材:水酸化カルシウム |
◎根尖孔 | ◯根管口 |
根管充填 |
垂直加圧 | 側方加圧 |
費用 |
自費診療 | 保険適応 |
2018.02.25
根管治療の分類と成功率について 〜抜髄と感染根管治療〜
根管治療は「抜髄」と「感染根管治療」に大別されます。
① 抜髄
※虫歯が歯髄まで到達してしまい歯髄炎を呈している状態
症状
⑴冷たいもの、熱いものでしみる
⑵何もしてなくてもズキズキ痛い
⑶眠れないくらい痛い 仕事が手につかない
⑷噛むと痛い
治療法
⑴抜髄=歯髄除去 ⇨根管充填
⑵コア装着=土台
⑶クラウン装着=かぶせ物
成功率
⑴精密根管治療 ⇨ 95%以上!
⑵平凡根管治療⇨ 40%程度...
②感染根管治療
- 原因
- 抜髄不備による感染
- C3状態を放置してしまったことによる感染根管
- 歯周ポケットや外傷性咬合による逆行的な根尖性歯周炎
- 中心結節破折に伴う痛みを究明できず感染根管に至ってしまった時など
症状
⑴急性期は強い自発痛を伴う
⑵噛むと痛い
⑶歩行時などの振動で違和感がある
⑷歯肉にプクッとおできができる
治療法
⑴再治療時は補綴物や根管充填材除去
⑵感染根管治療
⑶適確な操作法による水酸化カルシウム貼薬
⑷症状改善傾向を認めたら密な根管充填を行いレントゲンにて評価
⑸コア(土台) →クラウン作製
成功率
⑴精密感染根管治療 ⇨ 85%
⑵通常感染根管治療 ⇨ 40%程度
※再感染時は根尖切除術にて対応もしくは抜歯に至る
2018.02.22
初期虫歯⇒根管治療⇒抜歯までのアニメーションにて解説!
虫歯の分類はC0~C4まであります。CとはCariesの略語であり虫歯のことです。
一般的に虫歯の進行程度はエナメル質・象牙質・歯髄までの侵襲程度と症状にて判断しますので確定診断としてレントゲン撮影が必須となります。
⓪C0:エナメル質表層が脱灰し、白く濁っている程度であり無症状。
ブラッシング改善やフッ素塗布にて再石灰化が見込める状態です。
①C1:エナメル質表層から内部まで進行しているが、象牙質まで到達していない状態。無症状。
レントゲン撮影、ブラッシング状況より治療介在するか経過観察を行うか判断します。
②C2:象牙質内に達している状態。 しみるといった症状が出現しやすい。穴があいている。黒い。
レントゲン撮影にて象牙質に達しているか確認。麻酔にて虫歯治療必要。
象牙質はエナメル質と異なり放置すると速いスピードで歯髄まで進行するため早期治療が必要。
この段階での治療をいい加減に行うと再発し歯髄に到達し激痛を伴い神経を除去する抜髄に。
③C3:虫歯の進行が歯髄に至る状況。
冷たい物や温かい物で強くしみる。何もしていなくてもズキズキと激痛がする。
レントゲンにて確認し、麻酔下にて抜髄処置。⇒不可逆性歯髄炎のため神経の処置が必要。
適切な歯髄処置を施すことで90%以上の成功率となる。つまりマイクロスコープと3DCTを用いたマイクロエンド精密根管治療が必要となります。肉眼や10倍程度のルーペではとてもではありませんが対応できません。
④C4:C3 状態を放置し残根状態を呈している。痛みはほとんど感じないが腫脹の出現が高い。
残念ながら抜歯の適応か、歯根の長さによりCrownLengtheningの小手術にて保存を試みる。
2018.02.08
2/4精密根管治療セミナー修了のご報告❗️
2017年4月よりスタートした藤本研修会歯内療法セミナー修了しました。
本当に素晴らしい内容でとても充実した6セッション12回の1年コースでした。
エディターはペンシルベニア大学にて学ばれ現在は日本にとどまらずグローバルにご活躍されている石井宏先生です。歯内療法においては非常に厳しい芯の強さをお持ちであり、また懇親会などの席ではフランクにお話ししてくれる実直な先生でした。日本において歯内療法という最重要な基礎治療がいかに軽率に取り扱われているかを実感しました。
私がこのコースを受講したきっかけと目標ですが、
-
患者さまに今以上に質の高い根管治療を施術し歯の永続性を高めたい
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根管治療で悩まれている患者さまに選択肢の広い技術者になりたい
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根拠に基づく理にかなった根管治療を行いたい
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将来的にも安全かつ安定した材料を用いて施術したい
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現在の日本における規制や縛りのある中での根管治療と、規制などにとらわれない真の精密根管治療との結果をバイアスなしで知りたい
そして、歯科医師である以上根管治療で悩まれている患者さまや今後根管治療に至ってしまう歯を規制にとらわれることなく、信念を持ち真の根管治療を施術し、日本の歯内療法発展に少しでも貢献したいと思い受講しました。
今私の中で患者さまに真の精密根管治療の大切さをご理解頂けるか不安はありますが迷いは全くありません。
ここ世田谷区千歳烏山 烏山通り歯科より根拠に基づいた精密根管治療を施術し、1本でも多くの歯を適切に保存できるように精一杯診療を行う所存でございます。
今後、烏山通り歯科における精密根管治療の取り組みをブログにおいて情報発信していきますのでたまに覗いてください。
2018.02.03
藤本研修会エンドコース最終回
2018.01.16
歯内療法=根管治療とは?
歯内療法=エンドドンティクスとは?
ギリシャ語で歯の内側(エンド=内側、オドント=歯)を意味しており、進行した虫歯に対して行う「根管治療」を専門に行います。一般には「神経治療」とか、「根の治療」などと呼ばれています。
虫歯の原因となる細菌が歯の内側の神経に入り込むと、歯がズキズキ痛くなったり、顔が腫れたりといった症状が出ます。自然治癒することはなく、放っておけば細菌によって歯の内部や歯を支える歯槽骨が溶かされ、いずれ抜歯をすることになってしまいます。
根管治療は基礎工事における最も大切な位置づけでありますが、根管形態は非常に複雑であり肉眼で確認しながら行える治療ではありません。
ですので妥協なくできる限りのことをしっかり適切に行う必要性があります。
最低限の施設基準として、歯科用3DCTとマイクロスコープがあること!この条件は歯科医院選びにおいて絶対に覚えておいて下さい!